2020/11/15
VOL.4
有機JASマークがついていない“有機農産物”って?
~「提携システム」が支える非JAS農産物

「有機JAS認証」を取得していなければ、「有機農産物」「有機野菜」と名乗ることはできません。安心・安全な農産物を選ぶ上で、有機JASマークはたいへん分かりやすい目安になると言えます。(参照:「有機JASとは?」)

その一方で、有機JAS認証を取得しないままで、「農薬も化学肥料も使わない」、「動物性の堆肥を使わない」、さらには「農薬だけでなく、肥料も一切使わない」など、有機JAS認証が取得できるレベルの栽培を実践している農家もあります。そうした篤農家(研究熱心で優れた技術を持った農家)の多くは、消費者との長年に渡る信頼関係で結ばれ、直接消費者に届けたり、生活協同組合や宅配団体を通して会員(消費者)に届けたりしているケースが多いようです。「誰が、どんな栽培方法で育てている農産物なのか」という情報が、きちんと消費者に届くシステムが出来上がっているため、第三者による認証は必要ないという考え方に基づいているのですね。 生産者と消費者が密な関係を維持し、契約栽培・直接取引を行う形態を「提携」と呼びます。多くの提携団体では、“生産者と消費者の相互補助の精神”に基づき、交流会や学習会なども積極的に開催しているようです。「提携」はもともと日本で始まったシステムですが、近年ではむしろ欧米で高く評価され、実践もされており、有機農産物の消費を促す大きな力となっています。

【TEIKEI】は世界語に

日本発祥の「提携」の動きは、欧米を中心に30カ国以上で始まっています(アメリカ・フランス・スイス・カナダ・イギリス・ドイツ・イタリア・ポルトガル他)。

■アメリカ:「CSA」
 Community Supported Agriculture =地域で支える農業
■フランス:「AMAP」
 Association pour le maintien d'une agriculture
 paysanne=農民農業支援維持団体
■スイス:「ACP」
 Agriculture Contractuelle de Proximite=産消近接契約農業

各国で様々な名称がありますが、これらの活動に携わっている人々は、自分たちの活動のモデルとなった日本の提携システムに敬意を払い、「TEIKEI」という日本語をそのまま使っているケースも多く見受けられます。また、海外の提携団体が、日本の提携団体を視察し、情報交換をしたり親睦を深めたりもしています。

近年はインターネットで生産者と消費者が情報を直接やり取りできる時代になったこともあり、「提携」にも様々なバリエーションが見られるようになりました。色々と検索・情報収集してみると、自分の好みやライフスタイルにフィットした生産者や団体が見つかることでしょう。
※ちなみに、“有機JAS認証を取得していないが、同じレベルで栽培された農産物”を、農業や食品業界の関係者は、一般に「非JAS農産物」と呼んでいます。

TOPへ