決め手は商品力
「こだわりやの快進撃の理由はなんでしょう?」と、専務取締役の藤田さんに質問すると、こんな答えが返ってきました。「ふわっとした言い方になってしまいますが、“商品力”ではないでしょうか。『あのメーカーの、あの商品が置いてあるから』ということで、お店への信頼感が増すということがあります。“それを買うためにお客様がわざわざ足を運んでくださる商品”というのは、“理念・品質・価格”のすべてにおいて納得がいくもの。そういう商品を丁寧にセレクトすることで、こだわりやは成り立っていると思います」 商品を見る上で特に重要視しているのは、素材のクオリティとメーカーの姿勢だと言います。その理由は、素材が良ければ余計なものを使ってごまかさなくても美味しいものができるから。そして、作り手と売り手の温度差がない関係のもとで一緒に商品づくりをしていけるメーカーとつきあいたいから。
食のバリアフリーに対応
食物アレルギーや健康上の理由、宗教やポリシーの違いなどによって、特定の食材を避ける人々が増えています。食の多様化やグローバル化で最大の障壁となっているのは、こういったニーズに対する表記の不明瞭さであり、それが“食のハードルやバリア”になってしまうことも。こだわりやのお店に足を踏み入れると、商品説明のPOPやオリジナル商品のパッケージに様々なマークがついていることが分かります。「GLUTEN FREE…製品に小麦を使用していません」「SOY FREE…製品に大豆を使用していません」「DAIRY FREE…製品に乳製品を使用していません」「PLANT BASED…植物性原料のみで作られています」「EGG FREE…製品に卵を使用していません」「NON GMO…遺伝子組み換え原料を使用していません」「PRODUCT OF JAPAN…日本国内で作られています」…など、食の制限がある方々でも食を楽しめる商品が揃っているのです。「最近は、植物性原料のみで作られた商品の売り上げが予想以上に伸びていますね。それから、有機JASマークの商品が大好きというファンもいらっしゃいますよ」と藤田さん。
有機的なつながりの中で
取材中、藤田さんのお話の中で、とても印象的だった一言があります。「生産者とは、一度おつきあいしたら、できる限り一生つきあっていきます。お互いの立場を理解しながら、責任をとりあって仕事に向き合う。『こだわりやには、変な商品は出せないな』と思ってもらえるようでありたいのです」 正直なところ、藤田さんにお会いする前は、“デジタルでスピード重視な価値観をもった、凄腕のキャリアウーマン”を想像していました。ところが実際にお会いしてお話をうかがってみると、“心意気”とか“信念”とかいうような昭和チックなワードが浮かび上がってくるのです。「気になる生産者がいたら、どんなに遠くて不便なところでも会いに行く」「信頼関係が築けていれば、トラブルが発生しても一緒に乗り越えられる」等、静かな口調ながら、精神的体育会系とでも言いたくなるような熱いハートの持ち主であることが伝わってきました。オーガニック業界には、「生産基準さえクリアしていればよい」という姿勢の人もいます。そういう人々とは一線を画し、生産者やお客様と有機的に繋がり、コツコツと信頼関係を築きあげていくのが“こだわりや流オーガニック”のようです。
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