レモンサワーから始まった有機への道
有機農業に目を向けたのは、創業当時にお店(「つぼ八」)でヒットしていた「生しぼりレモンサワー」がきっかけでした。生のレモンをお客様自身が絞り、絞った果汁も残った皮もグラスに入れてフレッシュな香りを楽しむというもの。その時使用していたのは輸入レモンで、農薬や防黴剤、ワックスなどが使われていました。グループの創業者であり現在は代表取締役会長兼グループCEOを務める渡邉美樹さんは、当時、それらの薬品を落とすために毎日一生懸命レモンを洗っていたといいます。さらにその後、お店で使う野菜を栽培している畑を訪ね、生産者が宇宙服のような防護服を着て農薬を撒いている姿に衝撃を受けたとのこと。このような背景から、ワタミグループはオーガニックへと舵を切っていったのです。 |
市場仕入れから、自社農園へと
「安全な食材を使いたい」との思いから有機野菜を仕入れるようになりましたが、有機農産物は価格が高めである上に、仕入れも不安定。庶民的な価格でお料理を提供する居酒屋チェーンにとっては頭の痛い問題でした。「ならば、契約農場に栽培依頼をしてみてはどうか?」と考えたものの、有機JASの基準をクリアするための手間ひまがかかり、契約費もどんどん膨らんでしまうことに。結局、「自分たちで農場を作って野菜を育てるしかない」という結論に達したといいます。まずは耕作放棄地を借りて耕すことから始めましたが、耕作放棄されてから時間がたった農地は土地が枯れていたため、少しずつ土を蘇らせていったそうです。様々な壁にぶつかりましたが、諦めずに土や作物と向き合い続け、今では全国に9つの有機農場と2つの放牧酪農牧場を持つ(※)日本最大級の農業法人へと成長しまた。それでも、まだまだ道はなかばで、課題はたくさんあるのだとか。単にこれまでの延長線上で仕事をしていくのではなく、必要な変化を採り入れながら、ワタミモデル構築のために歩み続けています。
ワタミの“あるべき姿”に向けて
「真剣にオーガニックに取り組んできましたが、そのことをご存じないお客様もいらっしゃいます。有機農産物の美味しさや魅力について、店頭のポスターやメニューの中でもっと分かりやすく伝えていく必要があると思っています。さらに、有機農業を広げることの意義について、国産有機サポーターズのサイトやイベントなどでアピールしていけたらいいですね」(営業推進本部・小副川さん)
「SDGsの考え方である『アウトサインド・イン・アプローチ(※※)』を取り入れ、2030年の社会や、その時ワタミがどうなっていたいのか等についての意見交換をタスクフォースチームで行いました。タスクフォースチームは本業の中で重要課題を取り入れるために各事業部から選定されたメンバーで、今回の『ワタミオーガニック』のプロジェクトをはじめ、『宅食の弁当容器回収リサイクル』や『再生可能エネルギー事業』等も手掛けています。これらを推進することで、お客様や社会からの『ありがとう』を集めながら、SDGsを推進させていきたいと考えます。」(SDGs推進本部・三島さん) 「環境に配慮した持続可能な生産方法により、安全・安心な食材が当たり前のようにお客様に届く。ワタミグループはそんな社会を目指しています。1次産業である有機農業から、2次産業の加工、そして3次産業の外食・宅食・販売、さらには風力発電などの再生可能エネルギーを活用した6次産業モデルの推進へと、様々な方向からオーガニックに取り組んでいきます」(六次化推進部・永山さん) 「居酒屋でも、何とかお客様に安全で安心な野菜を提供できないかという思いの中、真剣にオーガニックに取り組んできました。従業員の一人ひとりも、そのことに誇りを持っています。お客様の健康と環境に配慮した活動を、これからも、愚直に、熱心に続けていきます」(人材開発本部・高城さん) |